MATERIAL履きごこちのよさは素材から

MATERIAL 履きごこちのよさは素材からMATERIAL 履きごこちのよさは素材から
履きごこちのよさは素材から
靴の見た目や質感を決める革素材。
やわらかくて足に馴染む理由は、
素材や加工ひとつひとつの工程に
こだわりを持って品質の高さを
維持している加工の現場にありました。
履きごこちのよさは素材から1

やわらかさと強さ、どちらも持つ革を

私たち株式会社金梅は戦前に創業し、姫路の地でおよそ100年もの間革のなめし工場を営んでいます。もともとは、和太鼓などに使われる伝統的な「白なめし革」をつくっていましたが、欧米から「クロムなめし」という技法が入ってきてからは、軍靴に使われる革や、高度経済成長期に流行したブーツの革などを製造するようになりました。そして現在は、仔牛の皮革製造者を意味するキップタンナーとして製造を営んでおります。靴づくりには、一般的に牛の革が使われることが多いです。女性用の靴には、ゴート(山羊)やシープ(羊)の革が使われていることもありますが、パンプスや紳士のビジネスシューズのほとんどは、牛革なのではないでしょうか。その理由は、食用として飼育される家畜の中で、世界的にも牛の流通量が最も多いことが挙げられます。また、革がほどよくやわらかいことに加え、強さも兼ね備えているということも理由の一つです。靴の革は硬すぎれば歩きにくいですし、やわらかすぎても耐久性がなくなります。そのため、柔と剛どちらも持っている牛革が靴づくりには一番合っています。特に牛革でキップ(仔牛)を使用している靴では、「ダッチビールスキン」というオランダの革を使用しています。これは、海外有名鞄ブランドにも使われている名前の通った革で、その中でもグレードのいいものを選りすぐっています。風合いがいいだけでなく、丈夫で履きごこちもやわらかく、素材段階から品質にこだわりを持っています。

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理想のために素材を一から加工する

当社では「原皮」の状態で皮を仕入れ、革へと加工していることが特徴のひとつです。原皮とは牛の体毛がついた皮のことで、オランダから運ばれてくる間に傷まないよう、塩漬けされた状態になっています。まず塩を抜いて、その他付着している汚れをきれいに落とし、体毛を除去するところが第1段階です。そして、クロムに含まれる金属イオンと皮のタンパク質を結合させる「クロムなめし」という技法でなめし、さらにやわらかさと強度を持たせます。この工程が終わった後の皮は、化学反応を起こして「ウェットブルー」という青い状態になります。その後、下地となる染色をして乾燥させ、オーダーでいただいていた色に塗装をしながら、必要があれば撥水やシワ加工などを施して出荷されます。他にもいくつかありますが、皮から革への工程はおおまかにこのような形です。現在は、コストメリットなどの観点から、ウェットブルーになったものを仕入れるのが主流ですが、当社では原皮の状態から加工をすることにこだわっています。こだわりをもってこれらの工程をすることで、皮の状態を確認しやすくし、またお客さまのご要望に合う細やかな調整をして、高い品質を追求しています。

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厳しい品質基準に合わせていく

サクセスウォークは革の風合いに加え、もっと履きごこちとやわらかさを追求したいというオーダーでした。そうした条件をクリアするためにまず必要なのが、質のよい素材です。一口にキップとはいっても、デンマーク産、北米産など、さまざまな品種があります。最終的にダッチビールスキンに決定しましたが、素材を決めるまでに何度もサンプルを出しました。そして素材が決まった後は、サクセスウォークの品質基準をクリアするために、ウェットブルーをつくる際の薬品の配合を1年ほどかけて細かく決めていきました。実は、風合いと履きごこちというのは密接に関係しているもので、この薬品のバランスが少しでもずれると成立しなくなってしまうほど繊細な配合となっています。また、私個人としてはウェットブルーになった時点での検品が一番大事だと思っています。ここできちんとよいものを選び抜けなければ、最終的に革になったときに品質に大きな差がでてしまいます。

いつでも同じ品質であるために

日本と海外では革に対する考え方が少し違っていて、海外では革についているシミや傷を、1頭の牛が生きてきた「個性」だと捉える考え方があります。それには大いに共感できますし、日本にも広まってほしい考え方だとも思っています。しかし、靴に関していえば、小さな傷でさえも事故につながりかねません。その意識はサクセスウォークの品質基準にも厳しく反映されており、常に同じ品質の革を提供することが求められています。そこが一番難しい点です。例えば、染色をするときの水温の調節です。そのままの水を使ってしまうと、夏場と冬場では水温に差がでてしまい、夏のサクセスウォークと冬のサクセスウォークが違った質感になってしまうんですね。そのため、夏場の水温を基準として、1年を通して一定に保つということをやっています。また、乾燥工程に関しては天気に左右されてしまうので、その都度、手で触って水分含有量を確かめ、乾きが悪いようであれば強制乾燥の工程を追加するなどしています。自然物を加工しているからこそ、そうした職人的な感覚はとても大切になります。

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長く履きやすく、歩きやすい靴

サクセスウォークは風合いと履きごこちを追求するために素材からこだわり、厳しい品質基準を設けているところが大きな特徴です。また、新品でも履きやすく、歩きやすいサクセスウォークは、使うほど足に馴染むうえ、しっかりとしたつくりなのできちんと手入れをすれば長年履き続けることもできます。それが可能なのも、ダッチビールスキンというこだわり抜いた本革を使用しているからですし、開発に携わった方やシューメーカーさんが、高い技術力を持っているからこそです。このワコールならではのものづくりこそが、他社製品と一線を画している要因だと思います。本当に普通のパンプスとはちょっと違うなと感じていただけると思うので、ぜひ一度、足を入れてみてください。そして、「革っていいな」と思っていただけると、こんなに嬉しいことはありません。

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