科学的視点から導いた、歩行に快適な靴

日本人女性の足の変化から「もっと歩きたくなる足へ」を追求する新潟医療福祉大学の阿部教授に、疲れにくいパンプスに必要な考え方を教わります。

⽇本⼈⼥性の⾜の幅は変化している

「どのパンプスを履いても歩きづらいんです」。私は現在、⼤学で教鞭を執りながら、ゼミの学⽣と⼀緒にさまざまな研究をおこなっていますが、あるとき⼥⼦学⽣からこんなことを⾔われました。そして、なぜパンプスが⼥性の⾜に合わないことが多いのかを⼀緒に研究し、そこで⾯⽩いデータに出会うことができました。⽇本⼈の⼥性の⾜の足長の平均サイズはここ30年間ではあまり変わっておらず、23〜24cmというデータが出ています。しかし、⾜の幅に注⽬してみると、狭くなっている⼈が多くなってきています。⾜の幅は、「E」というサイズが標準で、「EE」「EEE」となると広くなり、「E」よりも細いのが「D」、それよりも狭いのが「C」という表記です。30年前は「E」がほとんどだったのですが、最近では「E」と「D」がほぼ同数になってきています。ところが今の靴の型の基準は、約50年前の⽇本⼈の⾜型をベースにつくられています。そうなると、⾜の幅が狭くなっている現代の⼥性の⾜には、少し今の靴では⼤きくなってしまいます。それが、歩きにくくなってしまう原因です。

靴のサイズが合わず、⾜の疲れに

サクセスウォークでもう⼀つ特徴的なのが、⼟踏まずからつま先にかけての「振り⾓度」です。ここについても⼀緒に研究を⾏いました。少し⾓度をつけてあげることで蹴りだしをサポートするだけではなく、親指の当たり具合が気になる⽅でも楽に履けるようになっています。ですので、きれいなポインテッドトゥを履いても痛くなりにくいはずです。この⾓度については、これまでの私の研究からある程度の答えはあったのですが、それは解剖学と人間工学にもとづく計算によるものでした。理論をもとに靴職⼈、⽊型職⼈さんが⽴体的にしたものを⾒ながら私と打ち合わせを行い、特徴的な「振り⾓度」を追求しました。メーカー、職⼈、研究者が理想的な関係性でモノづくりに取り組めたと感じています。なぜ、⾜の幅が狭い⼥性が多くなったのか。これは仮説になりますが、⾞や電⾞といった交通機関が発達し、昔よりも圧倒的に運動量が少なくなったことが原因だと考えています。エスカレーターやエレベーターがありますから、階段を上る機会も少ないですよね。⻑い時間歩かなくてよくなったわけですから、⾜の幅を広く発達させる必要がなくなったということです。これは、⼀種の進化であるともいえます。しかしながら、サイズの合っていない靴を履くと、靴の中で⾜が動いてエネルギーをロスしてしまいます。これが「⾜の疲れ」につながります。さらに、つま先の⽅に⾜が滑ることで外反⺟趾の原因になりますし、⼩指が内側に曲がってしまう内反⼩趾になる恐れもあります。現代の⾜に合わせて幅のバリエーションを増やせばいいのですが、⻑さ×幅でとんでもない数のサイズ展開にしないといけないので、コストがかかってしまうため難しいんです。しかし、ワコールは⼥性のからだの特徴にあわせた下着を作っている会社です。ですので下着と同じ考えで、「⼥性の⾜に合う、歩きやすい靴を追求するためにサイズにバリエーションを持たせる」という靴業界の⾮常識に取り組めたのではないかと感じています。

⼥性の⾜に合う靴を追求

靴には「⾜を守り、⾜機能を助⻑する」という定義があります。まず、暑さや寒さ、地⾯の凹凸などから⾜を守れなければなりません。⾜を守ることができれば、⾜をついたときに余計な⼒を使わずに済むので、前に進むための蹴りだしに⾜の筋⼒を100%使うことができます。そうした条件をクリアしつつ、もう⼀つの条件がそろってこそ、理想的な靴といえると私は思っています。デザインは気に⼊ったのに、サイズが合わずにその靴を諦めた経験はありませんか?サイズバリエーションが豊富であるということは、より多くの⼈が履ける靴であると⾔えると思います。もともと私は、事故や病気で歩⾏が困難になった⽅に対する、リハビリテーション治療を専⾨とし、⾻が折れたり、傷が⼊ったりして⾜の形が変わってしまった患者さんにぴったり合う靴をつくってきました。その患者さんの歩⾏を再建してきた医療分野のノウハウをこれまでワコールに伝えてきました。「⼥性に合う靴」を追求するために、そのノウハウをワコールはモノづくりに活かそうとしていますね。また、店頭の販売員が持つ適合技術も大切だと思います。

インソールでかかとなどに集中しがちな荷重をやわらげる

しかし、サイズのバリエーションがあるだけでは、どんな⼈の⾜にも合わせるには⼗分ではありません。そこで共同研究に取り組んだのが、サクセスウォークの⼤きな特徴の⼀つである、「美楽るパッド®」というインソールです。地⾯に接する⼈間の⾜の裏は、片足あたりからだ全体の体表の約1%しかなく、そんな狭い⾯積で全体重を⽀えています。また、2本の⾜なので、50%ずつの体重がかかりそうに思えますが、歩⾏に関しては違います。交互に⾜を出して歩いていても、実は⼀本⾜の状態が8割で両⾜の状態が2割なんです。つまり、ほとんど⽚⾜で体重を⽀えながら歩いていることになります。これだけ⼤きな負荷がかかっているわけですから、合わない靴を履いていると⾜にトラブルが起こってしまうのは当たり前。そこでポイントとなるのが、インソールです。「美楽るパッド®」はこれまでにない3Dインソールだと思います。踏みつけ部・かかとに集中しがちな荷重をいかに分散するか、を研究課題にヒールの⾼さごとに検証を⾏いました。また⾜が前滑りしにくくなるための構造も研究しました。

理論に職⼈の感覚を加える

サクセスウォークでもう⼀つ特徴的なのが、⼟踏まずからつま先にかけての「振り⾓度」です。ここについても⼀緒に研究を⾏いました。少し⾓度をつけてあげることで蹴りだしをサポートするだけではなく、親指の当たり具合が気になる⽅でも楽に履けるようになっています。ですので、きれいなポインテッドトゥを履いても痛くなりにくいはずです。この⾓度については、これまでの私の研究からある程度の答えはあったのですが、それは解剖学と人間工学にもとづく計算によるものでした。理論をもとに靴職⼈、⽊型職⼈さんが⽴体的にしたものを⾒ながら私と打ち合わせを行い、特徴的な「振り⾓度」を追求しました。メーカー、職⼈、研究者が理想的な関係性でモノづくりに取り組めたと感じています。

⼥性の靴ライフを変える

ワコールでサクセスウォークをつくるという企画が持ち上がった当初、⼀緒に開発してくれるシューズメーカーさんはなかなかいなかったそうです。「⼥性に合う靴」という夢物語みたいな話で、いままで誰もやったことがなく、データもないですからね。しかし私は、⾃分の研究データやメソッドがモノづくりに⽣きればと常々考えていました。ですから、私を訪ねてくれて本当によかったと思っています。そして、これまで⼀緒に共同研究を進める中で、疲れにくい、歩きやすいなどの機能的な部分は、ほぼ理想に近い部分まで来ていると思います。科学的な視点と職⼈さんの技でつくりあげたサクセスウォークは、⼥性の靴ライフを変えるものになるでしょう。ヒール靴を諦めていた⽅にとっては、とても居ここちのいい駆け込み寺のような存在になるはずです。靴にお悩みの⽅には、ぜひ⼀度試して欲しいと思います。

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