疲れにくく、歩きやすい
ヒールの秘密

サクセスウォークの特徴のひとつともいえるヒールへのこだわりと、その秘密をブランド立ち上げ当初から製造をお願いしている株式会社カネコの代表取締役社長の金子さんに聞いてみました。

ヒールはラインの美しさがいのち

当社は創業から70年以上、靴づくりにおける「ヒール」に特化している会社です。一昔前までは、木でヒールをつくっていたのですが、現在は耐久性や生産性を考慮して、プラスチック素材にほぼ変わってきていますね。基本的にはワコールから、具体的なヒールのデザインを写真や絵でいただいて、それらをもとにして、そのパンプスの木型にあうようにファーストモデルと呼ばれるヒールをつくることからはじまります。そこから2〜3回修正を重ねてかたちが決まれば、最終的に量産をするために金型をつくっていきます。簡単に説明をするとこのようにつくっているのですが、その難易度はデザインによって変わります。ヒールは何よりもラインが大事です。みなさんが持っていらっしゃるパンプスのヒールを見てもらうと、単純にまっすぐではなく曲線になっていませんか?このラインをだすことが一番難しいポイントです。

歩きやすいヒールの追求

サクセスウォークのヒールは、かかとの真下にあることが特徴のひとつです。これにより、体重をしっかりと受け止め、足の前部分にかかる負担を軽減しています。ただ、もっとも大きなこだわりは、「リフトの角度」です。ヒールの底には「リフト」というゴムのような樹脂でできた部品がついています。これは、すべり止めや消音の役割を果たしているのですが、サクセスウォークの場合は、地面をスムーズに蹴りだせるように人間工学の観点から計算して、このリフトに少し角度をつけています。私たちはそれを「ねじれ」と呼んでいるのですが、この発想はこれまでのパンプス業界にはありませんでした。イノベーションといっていいと思います。人間は左右の足それぞれを内側に蹴りだして歩くため、右と左でヒールをねじる方向を逆にしているのですが、左右でヒールのかたちが違うパンプスはサクセスウォークだけではないでしょうか。

ねじれをどう美しく見せるか

この「ヒールをねじる」という発想はとても画期的なものだったのですが、全体的にねじっているわけではないので、ヒールが非対称になってしまいます。デザインとして美しくなければ、ワコールのブランドにふさわしくありません。この状態でいかに美しく見せるかが難しいポイントでした。ですが、「ヒールのねじれ」はサクセスウォークの大きな特徴でもあり、視覚的にも大きく左右されるので、できるだけ強調しなくてはなりません。これらの課題を少しずつ調整し、修正を重ねながら、ようやく非対称でありながらも美しく見せられるバランスを取れるものができました。当社がいいと思っても、ワコールからすれば基準に届いていないということが何度もありましたが、見た目の美しさにも厳しいワコールの目があったからこそ、機能性と美しさを兼ね備えたヒールを誕生させることができたと思っています。ワコールの靴づくりへの想いは本当に熱く、私たちは職人として、何とかその想いに応えようと必死でしたね。

安全性も大切

もうひとつのこだわりとして、「リフトのやわらかさ」があります。サクセスウォークには、通常のパンプスには使われないやわらかいリフトを使用しています。歩いたときにカツンとくる衝撃をできるだけ和らげ、極力すべらないようにということでのご要望だったのですが、当社としては安全性の面を考えて、一度お断りを入れさせていただきました。リフトがやわらかすぎるとすり減りやすかったり、ねじ切れてしまったりする恐れがあったからです。ですが、やわらかければ歩きやすいのでワコールがこだわりを持つのもうなずけます。リフトの厚さだったり、太さだったり、何度も検証を重ね、通常であれば1本にする留め具を2本に増やすなど安全性を考えたやわらかいリフトを追求しました。そして、より新しいものをつくるために、素材を見直すなど、さらに歩きやすいパンプスにするため、現在もこのリフトにさらなる改良を加えているところです。

世の中にない新しいパンプスを

当社は長年靴づくりに携わっていますが、ワコールとの靴づくりには、いまの世の中にないものをつくっている感覚で携わらせていただいています。ヒールをねじり、かたちが左右で違うものという発想は、これまで本当になかったのですごく刺激を受けましたね。疲れにくいパンプスを履きたいけれど、どのようなパンプスを選んで良いか分からないと、悩まれる方も多いのではないかなと思います。サクセスウォークはそういったたくさんの女性に対して、すごく価値があるものになっているのではないでしょうか。これから先も、多くの女性の足を支える存在になっていくと思います。そうやって、ワコールがこだわりを持って靴づくりに参入したことで新しい価値が生まれましたし、これからは日本だけではなくて、世界中にサクセスウォークがひろがっていってほしいですね。そして、女性が積極的に歩きたくなるような世の中を目指して、私たちもお力添えしていきたいと考えています。

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