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2013.11.21学ぶ

西欧史上、初めて脚を露出するように。
現代と同じような靴やストッキングが登場!

社会の発展とともに変化してきた、足にまつわるファッション。その歴史を紹介する連載・四回目は、20世紀前期のヨーロッパの様子をご案内します!

女性たちがアクティブになるにつれて動きやすい服装も増えてきたものの、1900年頃に流行していたのはSカーブ・スタイルと呼ばれるタイプのドレス。前に突き出した胸、極端に絞られたウエスト、後ろに張り出した腰がS字を描くこのシルエットは、コルセットによってからだを著しく変形させ、腰に負担をかけるものでした。おそらく女性たちは、苦しい思いをしながらも、おしゃれのために頑張っていたのでしょう。

そこに新風を吹き込んだのが、ポール・ポワレやシャネル。1906年、ポール・ポワレがコルセットを使わない洋服を提案。ハイウエストでストンとしたシルエットのドレスが話題を集めます。そして1910年代には、シャネル・ブランドが誕生。1916年に発表されたジャージー素材のスーツは、現代の女性服の基本型ともいえる、革新的な作品でした。


コルセットを使わないドレス
『 Les Robes de Paul Poiret racontees par Paul Iribe』1908年

そして、ちょうどこの頃に起こったのが、1914年~1918年の第一次世界大戦。差し迫った情勢から女性の社会進出が本格化したこと、ファッションの最高峰であるパリのオートクチュールが新しいスタイルを生み出したことから、女性たちはシンプルで実用的なおしゃれを目指すようになったのです。1920年代には、下着はコルセットに代わってブラジャーとパンティーが一般的に。スカート丈はどんどん短くなり、膝丈が主流になりました。


スキーを楽しむ女性 『Gazette du Bon Ton』誌 1920年

20世紀前期は、西欧のファッション史上、初めて女性の脚が見えるようになった時代。そこで重要になったのが、足もとのおしゃれ! 脚を美しく見せる、肌色のストッキング、豪華な装飾がほどこされたヒール凝ったデザインをあしらったパンプスなどが人気を博すことになったのです。

ちなみに、当時は、女性たちの間でダイエットが意識され始めた時期。19世紀以前は、ふっくらしていることが富みの象徴でもあり、ボリュームのあるドレスを着こなすために必要な条件でもありました。それが、20世紀に入ると、太りすぎは健康によくないとされ、コルセットでからだを補整することもできなくなったのです。旬の活動的なファッションが似合うのは、スマートでフラットな体型の女性。セックスアピールのポイントも、"豊かな胸"から"スラリとした脚"へと移ったのではないでしょうか。この時代は、多くの男性も女性の足もとに視線を奪われていたかもしれませんね。

*リンク先は公益財団法人京都服飾文化研究財団(KCI)のウェブサイトです。
株式会社ワコールはKCIの活動を支援しています。

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