夏といえばサンダルスタイルが定番のこの季節、今シーズンはサンダルに負けずスニーカーが大流行。ワンピースやスカートなどのフェミニンスタイルに合わせて、カジュアルすぎないヌケ感を作るのがポイントみたい。歩きやすくて疲れにくく、ラクだということも魅力なんじゃないかしら。そんなスニーカーとは対極のイメージにあるのがヒール靴。女性たちはなぜ好んでヒール靴を履くのか、シューフィッターさんに聞いてみたわよ！

"ハイヒール"というと女性の魅力を高めるアイテムの１つと思われることも多いようですが、このハイヒールは一体どのくらい昔から愛用されていたのでしょうか。

「歴史をひも解くと、ハイヒールは16世紀に流行した"zoccoli (ゾッコリ)"という厚底サンダルがもとになっているらしいです。歴史上では、太陽王と呼ばれたルイ14世が宮廷で舞台に立つ際に好んで着用したとか。どうやらハイヒールは当初貴族階級やその周辺で愛用され、時代とともに男女用の区別が出来て、現在に至っているようですね」

そもそもなぜ女性はハイヒールを好んで履くのでしょうか？　周囲の女性たちの意見を聞いてみるとーー。

「脚が長くみえるから！」「だって、ペタンコのものより、ハイヒールのほうがカッコいいじゃない」「ハイヒールを履くと足首がキュッと締まって細くみえるから」「颯爽と歩いていると素敵に見えるし、そう見られたいから」

など、見た目を重視する意見が続出。集約すると......ハイヒールを履いてふくらはぎが上がり、足首が締まり、ヒップが上がる姿は自分でもセクシーに見えるのだそう。

「"靴は歩くためのものだから、歩きやすければ良い"という前時代的な考えではなく、そこにファッション性（美的表現）があるから、歩きやすいだけでもダメ、キレイだけでもダメ！ということだと思います。毎シーズン目まぐるしく変化していくコーディネイトスタイルを敏感にキャッチし、素敵に着こなしている女性たちにいつも感心しています。
話が少しそれましたが、確かにハイヒールを履いて颯爽と歩く女性の姿はキレイだと思います。多くの女性が『ハイヒールを履くと背筋がシャンとし、とりわけ気持ちが引き締まる』と話すのを聞きますが、男性が『ネクタイを締めると気持ちが引き締まる』という感じに、よく似ているような気がします。脚が長く見える等、ハイヒールがもたらす現実の効果とは別の次元で、心理的にも影響を受けているのでしょうね。履きやすさだけでは語りきれない、ファッションの持つ心理的影響力というものは、舞台のためにハイヒールを履いたルイ14世の頃も今も、変わらないのかもしれません」

そんなヒールも、今シーズンはラクなスニーカーに少し押され気味のようですが......？

「ファッションとしての大きな流れで見ますと、ながらく続いた抑制されたミニマリズムからマキシマリズムへと変化していく中から、リラックスしたスタイル提案の一つとしてスニーカーが注目されています。トレンドアイテムとして女性のスタイリングの幅が広がるのはよいことだと思います。
それはそれとしてヒールのある靴には、スニーカーにはない"女性らしさ"という魅力があると思いますので、ぜひシーンに合わせて履き分けていただきたいですね」

女性らしさを高めるヒールか、トレンド感のあるスニーカーか悩むところよね。どちらも上手く取り入れて、真夏のファッションを楽しみましょ♪

取材協力／萩原智幸（FHA（足と靴と健康協議会）認定上級シューフィッター）